驕り高ぶることを抑え,精進することが成功につながる。
本書の内容は,「「恐懼」と「修省」こそが,つかみどころのない運命から幸運を引き出す最良の方法なのである。(中略)これができる人が「得をする」わけで,これができない人は「損をする」生き方しかしかできない(P. 14-15)」に集約されます。これは,恐れつつしんで驕り高ぶることを抑え,自ら反省し精進することが事業の成功につながるということです。 渡部昇一氏は幸田露伴の人生論を非常に高く評価しておられ,『努力論』と『修省論』をその双璧と位置付けます。『努力論』については本書以前に『幸田露伴「努力論」を読む 人生,報われる生き方』(渡部昇一・三笠書房)が出版されており,本書と併せて一揃えとなります。 幸田露伴の文章は語彙が豊富で,格調高く記されています。それは現代語訳にも随所に見られるため,古典の素養に乏しい読者には難しい個所もあります。私の場合も,二日酔いに苦しみながら読んだ後半は読み進むのに時間を要しました。 いくつか抜粋しましょう。 ・「誠意をもって事に当たるといえば聞こえはよいけれども,(中略)その仕事の知識に欠けていたら,どんなに精いっぱい気張ってみたところで空回りするだけで,誠意をもって事に当たることにはならないのである(P. 42)」…新しい分野に飛び込んだときには「まずは意欲を評価してくれ」と言いたくなるのが人情ですが,1年後もその状態では駄目だということです。 ・「真の犠牲者は,みな自分の心の奥底の声に感じて動くのであって,耳もとのラッパの音に動かされて身を挺するのではない(P. 95)」…企業の人事制度は「本人のやる気を引き出す」という看板を掲げながらも,看板を掲げた時点でラッパの音になっているという矛盾をどう解決するのでしょうか。 2冊を一括りにして手元に置かれることをお勧めします。
三笠書房
幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法 努力論 (岩波文庫) 人生計画の立て方 私の生活流儀 五重塔 (岩波文庫)
|